『真菜箸(まなばし・真魚箸)』は、和食の繊細な所作を支える特別な箸です。もともとは「真のおかず」と呼ばれる魚や鳥といった生臭物を、素手で触れることなく調理・盛り付けするために考案され、先端の細い金属製または木製の形状が特徴とされてきました。平安時代にはすでに、魚を扱う際に包丁と対で用いられる重要な道具として位置づけられ、その所作は日本料理の美意識とともに受け継がれています。
今日では「盛り箸」として進化を遂げ、魚介類だけでなく肉や野菜、さらには極小の具材や繊細な飾り付けまで、幅広く活躍しています。特に鋭く細い先端は、盛り付けの最終工程で料理に生命を吹き込むように、食材を正確かつ美しく配置することを可能にします。和食における最後の仕上げを担うこの箸は、まさに料理人の感性を表現するための必須の道具なのです。